糖尿病の東洋医学的考察

11月14日は「世界糖尿病デー」です。厚生労働省による2016年の国民健康・栄養調査によると、糖尿病の強い疑いがある人が初めて1000万人の大台に達することがわかりました。厚生労働省健康課は「1000万人という推計値は対策を強化しないといけないと認識させられる数字」と危機感を募らせています。しかし、糖尿病は自覚症状がないまま進行するので、健康診断で注意を促されても生活習慣を改善できず悪化させてしまうことが少なくありません。ここでは東洋医学的観点から糖尿病を考察します。

東洋医学では、糖尿病は「消渇」といいます。飲食の不摂生、精神的ストレス、過労、肥満、先天的体質などが原因で発生し、陰が虚損して体内の水分が奪われ、乾燥して体内に乾いた熱が生じます。

東洋医学では胴体を上焦、中焦、下焦の三つに分け、あわせて三焦といいます。三焦は水が流れる働きがあり、体の中を流れる川をイメージするとわかりやすいです。

中国の古典『金匱要略』によると、糖尿病になると上焦には肺の熱がこもるので喉が渇きます。中焦には胃の熱がこもるのでいくら食べてもお腹が減ります。下焦には腎の熱がこもるので多尿となり、腎臓に大きな負担がかかります。

ですから三焦を開く、つまり全身の毛細血管を開き、利尿することで体の中の湿熱を取ることが大切です。できるだけ三焦に湿熱としてある間に対処することが望ましいです。なぜなら、三焦にたまった湿熱はやがて三焦と表裏する心包に入ってお血を作り、このお血が重症化を引き起こすからです。

心包には二つの大きな役割があります。一つは「神志を主る」。これは精神のことで、病むとうつになります。もう一つは「血脈を主る」。これは血管のことで、病むと狭心症、心筋梗塞、脳梗塞になります。目の毛細血管が壊れると網膜症に、腎臓の血管が壊れると腎透析になります。この考え方は、糖尿病患者がうつになりやすいことや、血管がボロボロになり、血栓ができて全身で詰まる西洋医学の知見とも合致します。

『金匱要略』には、糖尿病に補腎の八味地黄丸が効くとあります。糖尿病になると全身的な新陳代謝の異常により生体の機能が低下し腎虚になるからです。病状が進行し透析などに移行した場合は、六味丸(陰虚)や八味丸(陽虚)で補腎し、柴苓湯で排尿を促す処方が考えられます。尿毒症で体が痒いときは、竜胆瀉肝湯や黄連解毒湯などで解毒作用を高めます。ただし、漢方薬は個人の体質によって使用するものが変わりますので、必ず専門家の指導の下で使用してください。

<参照>
■「糖尿病、初の1000万人…高齢化が影響」、読売新聞、2017年09月22日

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