「排卵誘発剤を使うと卵巣が老化するのではないですか」という質問について

不妊治療において排卵誘発治療を受ける患者さんはたくさんおられます。排卵誘発剤を使った採卵では1回で10個程度の卵子が得られます。通常、排卵される卵子は月に1個なので「一度にそんなに多くの卵子を排出したら卵巣が老化するのではないですか」というご質問をよく受けますが、その答えは「いいえ」です。
   
女性は胎児の時にすでに一生分の卵を持っており、生まれた後もその数は増えません。原子卵胞は卵巣皮質で休眠していますが、思春期になるとホルモンによって刺激され、卵胞が成長していきます。成熟して排卵される卵子は1~2個だけですが、実はそれと一緒にたくさんの卵子も成長しています。排卵されなかった残りの卵胞は死んでしまいます。
   
卵胞の成長にはゴナドトロピンと呼ばれるホルモンが必要ですが、しばらくすると分泌量が減ってきます。卵胞成長の最後の段階で、少ない量のゴナドトロピンでも敏感に反応する卵胞は成長し続けますが、少ない量では反応できない卵胞は消えていきます。
   
ですから、排卵誘発剤としてゴナドトロピンを補うことで体内のゴナドトロピン量を増加させれば、少ない量で反応できなかった卵胞も成長させ続けることができます。つまり、もともとなくなるはずの卵子を排卵誘発剤で助けているので、自然周期よりもっと多くの卵子を得ることができるというわけです。
   
排卵誘発剤は代謝で排出されるので原子卵胞に影響を与えません。すなわち排卵誘発剤で残っている卵子を先取りして使うということにはなりません。1~2回の排卵誘発剤は卵巣の老化を早めません。また、周期ごとに1~2個の卵胞が成長することも心配ありません。

  

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