『私は赤ちゃん』 赤ちゃんが言っていることは「私をよく見て」、これだけです。

世の中に名著と言われる本はあまたありますが、育児本では『私は赤ちゃん』を挙げる方が多いです。1960年に発刊されたので具体的な内容は参考にならないことも多いのに、なぜ今も多くの方に読まれているのかと思い手に取りました。

『私は赤ちゃん』というタイトル通り、

「異物をのんだとき」
「おしっこがにごる」
「急に泣きだすとき」

いろいろな場面で両親が右往左往するのを尻目に、親よりも冷静に赤ちゃんが「これはイヤなんだけどな」「そうじゃないんだけどな」とつぶやくちょっと変わった視点で語られます。

この本が書かれたのは高度成長期の最中で核家族化が進んでいった頃です。お母さんたちは一人で子どもを育てていかなければいけないけれど初めての子育てに不安を抱えていて、本や雑誌やテレビで一生懸命育児について調べて「こうしたほうがいい」「こうしなければいけない」と必死です。そして親やお姑さん、親せき、先輩ママたちがいろいろ口を出してきて、善意からというのはわかっていても焦ってしまいます。

今のお母さんたちととても似た状況だと思います。

そんな中で赤ちゃんがずっと言っていることは一つ、

「私をよく見て。本になんて書いてあるかは知らないけど私をよく見て」

これだけです。

50年以上前に書かれた本ですが赤ちゃんの言うことには普遍性があると思います。妊娠出産関連の本はたくさん出版されていますが、時間を超えて共感できる本は何冊あるでしょうか。月並みな言い方ですが『私は赤ちゃん』は名著だと思います。

2ページごとの短いコラム形式なので合間に手に取ることができ読みやすいです。赤ちゃんがとても大人なので、最近のキラキラした育児書にはない落ち着いた雰囲気であるのもよいです。これからも長く読み続けられる一冊だと思います。

<参照>
■松田道雄、『私は赤ちゃん (岩波新書)』、岩波書店

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