『エナガの一生』 今日を大切に生きようと思える一冊です

エナガは体長約14センチ、体重10グラム弱の小さな鳥です。
タイトル通り、一羽のエナガが誕生し、育ち、恋をし、命をつなぎ、パートナーと別れ、生涯を閉じる話です。
といってしまえばそれまでなのですが、エナガに心をわしづかみにされてしまいました。

絵を描いている萩岩睦美さんのあとがきにはこうあります。

「(資料のエナガの写真を見て)そのあまりのかわいらしさにすっかり魂を抜かれ、松原さんの写真を見ながらエナガを描きまくりたいと思いました」
「とにかく真剣に丁寧に愛情込めて描くことを心がけました」

こんなに思いを込められて描かれた絵がすばらしくないはずがありません。
「100ページを越える絵を描いている間中ずっと幸せな気持ちでいられました」というとおり、絵本ではありえないボリュームですが、100ページなんて感じないくらい魅入ってしまいます。

何度も卵を奪われ、子育てでヨレヨレになり、パートナーが天敵にさらわれ、エナガの一生には喜びとともに悲しみもあふれています。
最後は死の場面もあります。
なのに描いている萩岩さんは「幸せな気持ち」であったというのはなぜなのか、それはこの本を読んでいただければきっとわかると思います。

大げさな描写はないのですが、それだけに染み入ってきます。ただひたすらかわいいエナガにいやされるのもよしです。

そして、悲しみに沈んだとき、もしかしたらそばにいてくれる本になるかもしれません。
大人の方にこそ読んでいただきたい、今日を大切に生きようと思える一冊です。

<参照>

■松原卓二 (著) 萩岩睦美 (イラスト)、『エナガの一生』、東京書籍

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