漢方薬メーカーが生薬の国内調達拡大を推進

アイ・エム・エス・ジャパンのデータによると、国内の漢方薬市場はこの10年間で56%増加し、2016年度は薬価ベースで1481億円でした。いまや漢方薬は高齢者だけが使うものではなく、健康に気を使う若い世代でも愛好者が増えています。クラシエは女性誌の『an an』と漢方薬のパッケージデザインでコラボレーションを行い、積極的に広告を打ち出しています。

漢方薬市場は拡大していますが、現在、原料は中国からの輸入に大きく頼っています。中国では生薬の価格が日本よりもはるかに大幅に上がっており、さらに今後10年で中国では生薬が深刻に不足するだろうとみられています。過度の価格上昇を避けるために中国政府が輸出制限をかける可能性があり、中国から生薬を輸入できなくなるという最悪のシナリオも想定されています。

そこで、日本の漢方薬メーカーは原材料の国内調達を模索し始めています。

国内漢方薬メーカー最大手のツムラは生薬の約80パーセントを中国から、15%を国内から調達しています。国内で購入する生薬の量は2006年度から2016年度の間に40パーセント増加しましたが、全体の調達における国内産の割合はほとんど変わっていません。

同社は北海道に1カ所、本州に3カ所、四国に1カ所を拠点に生薬栽培を進めており、使用する約120の生薬のうち約4分の1が国内で栽培されています。熊本県のあさぎり町も拠点の一つとして年間約20トンのミシマサイコを生産しています。ツムラは契約農家に機械のレンタルや栽培方法のアドバイスを行っています。

龍角散も原料の調達を中国からの輸入から秋田での生産にシフトしつつあります。日本製漢方のブランド価値を押し出すことで、香港の漢方薬メーカーから日本で栽培された生薬の引き合いが増加しています。

武田コンシューマーヘルスケアも栽培管理や流通における国内の漢方薬市場のコストを引き下げる方法を模索しています。

遊休農地の有効な活用や経営安定を目指す取り組みが進められる中、生薬栽培は有効な選択肢の一つになると期待します。

<参照>
■ANNU NISHIOKA, The rise of ‘made-in-Japan’ Chinese herbal remedies Drugmakers shift from reliance on imported ingredients as demand increases, NIKKEI ASIAN REVIEW, January 31, 2018

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする