米スタンフォード大学が精子選別の新装置を開発

米スタンフォード大学のUtkan Demirci教授らが新しい精子選別装置、SPARTAN(Simple Periodic ARray for Trapping And isolatioN)を開発したというニュースがありましたので紹介します。

SPARTANは名刺ほどの大きさで、約10分で健康な精子を選別することができます。Demirci教授が「装置の受動的な性質が重要である」と述べているように、この装置の特徴は「シンプル」にあります。ヒントを得たのは女性の生殖器官において精子を選択する機能です。

SPARTANには高さ50マイクロメートルの柱が配列されており、箱の端にピペットで移した精液を箱の反対側で収集します。迷路を自分で泳いで突破した精子が健康な精子として選別されるというわけです。

尾が曲がっている、頭部が大きすぎるなどの形状異常や運動性が低い精子はゴールにたどり着くことができませんでした。一方、正常な精子は直線的に素早く泳ぎ、DNA損傷率も低いです。コンピュータモデルを用いて柱間の距離や柱の大きさを調整し、最も効率的な配列にたどり着くまで5年間かかりました。

現在、標準的に精液は密度勾配遠心法またはスイムアップ法によって処理され、運動性と形態性を基準に精子が選ばれますが、DNA、メチル化、活性酸素などについては考慮されません。

スイムアップ法では培養液の上に泳いでこられない精子は捨てられるため、収集できる精子数が少ないです。SPARTANはそのロスがなく、研究によると選別された精子の平均はスイムアップ法では24パーセント、SPARTANでは52パーセントでした。

また、遠心分離機の高速回転は精細胞に悪影響を与えます。スイムアップ法では選別された精子の13パーセントでDNAの断片化が見られましたが、SPARTANではそれが5パーセントまで低下しました。

この新しい技術が今後、どのように臨床に応用されていくのか期待されます。

<参照>
■慶野永、『10分で健康な精子を選別する装置を開発』、Medical Tribune、2018/1/29
■Thiruppathiraja Chinnasamy, Utkan Demirci et al., Guidance and Self-Sorting of Active Swimmers: 3D Periodic Arrays Increase Persistence Length of Human Sperm Selecting for the Fittest, Advanced Science, First published: 27 December 2017Full publication history, DOI: 10.1002/advs.201700531

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