不妊治療費用の問題

日本で不妊治療を行う場合、大きな壁になるのが費用です。日本人が不妊治療に費やす平均金額は100~200万未満と言われますが、なかには1000万円かけたという方もおられ、費用は青天井です。

卵子探しています: 世界の不妊・生殖医療現場を訪ねて』によると、フランスでは病院が国公立か私立かを問わず、独自料金を設定する一部のクリニックを除き、43歳未満であれば、人工授精6回、体外受精4回までを国の社会保険が全額カバーします。

なぜなら、フランスでは男女が43歳未満で子どもができないことは「疾病」と考えられているからです。43歳以降はフランスでは「健康の問題ではなく、身体の自然な変化」と見なされるので、医師も患者もあきらめるとなった時には結構さっぱりとしているようです。

各国の不妊治療の取材を通して、著者の宮下洋一さんは「不妊治療をめぐる周囲、特に男性の認識不足が障害になっている可能性は否定できないと感じるようになった」と言っていますが、これは重要な指摘であると思います。

フランスでは男女そろっての診察が法的に義務づけられています。その理由について、南仏モンペリエにあるクリニック・サンロックの培養室責任者、ジル・レニエ・ビグル医師はこう言います。

「なぜなら現在では男性側に原因のある不妊が40パーセントを占めているからです。精子の数が30年間で半分に減ってしまっているからです。それはおそらく環境やストレス、あるいは食べ物などが原因だと思います」

フランスでは全額が保険でカバーされますが、それゆえに群を抜いた技術を誇る施設が出にくいという問題もあります。どのような制度であってもいい面と悪い面があるのですから、どのあたりで折り合いをつけるのかを模索していくためにも各国の事情を知ることは大切だと思います。

<参照>
■宮下洋一、『卵子探しています: 世界の不妊・生殖医療現場を訪ねて』、小学館

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