WHOがトランス脂肪酸排除のための指針を発表

世界保健機関(WHO)は2018年5月14日、世界の加工食品から工業的に製造されたトランス脂肪酸を段階的に排除するための戦略的行動指針、「REPLACE」を発表しました。

REPLACEはトランス脂肪酸を迅速、完全、持続的に排除する6つの戦略的ステップの頭文字から成ります。

●REview:工業的に製造されるトランス脂肪酸の原材料および必要な政策転換について展望する

●Promote:トランス脂肪酸をより健康的な油脂に切り替える

●Legislate:トランス脂肪酸を排除するための規制措置を講じる

●Assess:食料品に含まれるトランス脂肪酸の量およびトランス脂肪酸の消費量の変化を評価、監視する

●Create:トランス脂肪酸がもたらす健康への悪影響について啓発する

●Enforce:政策と規制の遵守を強化する

その背景には、トランス脂肪酸の摂取による心血管疾患で毎年50万人超が死亡していることがあります。
トランス脂肪酸はバターの代替品としてケーキやクッキー、スナック菓子、フライドポテト、ナゲットなど幅広く用いられていますが、心血管疾患のリスクを高めることがわかっています。

近年、欧米を中心に人工的なトランス脂肪酸を規制する動きが活発になっています。

トランス脂肪酸を世界に先駆けて制限したのはデンマークで、2003年に法規制を行っています。その結果、加工食品に含まれるトランス脂肪酸の量が劇的に低下し、心血管疾患死はOECD加盟国と比較して急速に減少しました。

米国でも2015年に食品医薬品局(FDA)が食用として一般的に安全と認める食品添加物リスト(GRAS)から部分水素添加油脂を除外する決定を下し、2018年6月以降は食品への添加が原則禁止されます。

一方、日本では内閣府食品安全委員会が「通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられる」との見解を示し、まだ対策は取られていません。

他の油よりも保存期間が長くなることからメーカーには使いやすいトランス脂肪酸ですが、風味やコストを変えずにより健康的な油を使用することは可能です。

トランス脂肪酸の排除はWHOの第13回総合事業計画案(GPW13)の最優先目標の1つにもなっており、今後は世界的に規制が強化されていく見込みです。日本の方針見直しは時間の問題と思われます。

<参照>
■松岡由希子、「トランス脂肪酸の撲滅に向けた6つのステップ WHOが発表」、ニューズウィーク日本版、2018年5月17日
■大江円、「WHOがトランス脂肪酸の排除を計画 戦略的行動指針“REPLACE”を発表」、Medical Tribune、2018年5月21日

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