医療用漢方製剤の市場が10年で1.5倍に拡大

近年、医師が漢方薬を積極的に使い始めており、医療用漢方製剤の市場がこの10年で1.5倍に拡大しています。
その背景について、毎日新聞の「医師も注目『医療用漢方薬』10年で市場1.5倍」にわかりやすくまとめられていますのでご紹介します。

1967年から漢方エキス製剤が保険診療適用となり、現在は148処方が保険適用となっています。

以下、病院でよく使用されている漢方とその目的について記事よりまとめます。

>大建中湯
消化管運動を活発にし、腸管血流の増加や抗炎症などの作用がある。
・おなかが冷えて痛む。
・腹部膨満感がある。
・開腹手術後に腸の癒着を防ぐ。

>抑肝散
イライラや感情の高ぶりを抑える働きがある。
・不眠症
・子供の夜泣き、かんしゃく
・認知症における行動・心理症状:抑うつ、幻覚、妄想、睡眠障害、徘徊、不眠、怒り、不安、焦燥感

>補中益気湯
・疲労感
・食欲減退
・病後の体力回復

>六君子湯
・胃もたれや吐き気など胃の不調
・食欲を増進させるホルモン「グレリン」の分泌を増やす作用があることが分かったため、胸やおなかに不快な症状が続く機能性ディスペプシアや胃食道逆流症に伴う上腹部の不定愁訴、食欲不振などの症状に対して処方される。

>芍薬甘草湯
・こむら返り

漢方薬の効果が注目される中、エビデンス構築に向けて複数の臨床研究が進んでいます。
以下、記事よりまとめます。

>牛車腎気丸
抗がん剤投与に伴う末梢神経のしびれ、痛み、冷感症状を軽減すると考えられ、研究が進む。

>半夏瀉心湯
抗がん剤や放射線療法に伴う下痢、口内炎症状を軽減すると考えられ、研究が進む。

>半夏瀉心湯
2015年に化学療法中の口内炎に対する有効性を示唆する研究論文が発表された。

>六君子湯
抗がん剤による悪心や食欲不振に効果があると考えられ、エビデンス構築に向けて臨床研究が進む。

>ツムラの「育薬」の取り組み
国内漢方薬メーカー最大手のツムラは2004年度から西洋薬による治療が難しい病気に効果のある漢方薬を選んで臨床試験を繰り返し、エビデンスを確立する「育薬」の取り組みを続けている。対象は大建中湯、六君子湯、抑肝散、牛車腎気丸、半夏瀉心湯の5つ。

2011年に日本漢方生薬製剤協会が実施した調査によると、89パーセントの医師が漢方製剤を処方したと回答し、その理由として「西洋薬では効果がなかった症例で漢方が有効と認められた(56.6パーセント)」「患者からの要望(42.8パーセント)」「学会でエビデンスが報告された(34.1パーセント)」があげられています。

医師や患者の経験から使用される以外にエビデンスが報告されたことが使用の大きな理由になっており、今後は科学的研究が一層進むことが見込まれます。

<参照>
■鈴木敬子、<医療>医師も注目「医療用漢方薬」10年で市場1.5倍、毎日新聞、2018/06/17
■日本漢方生薬製造協会、「漢方薬処方実態調査2011」、2011/11/14
■Dr Shawkea official blog、「漢方薬メーカーが生薬の国内調達拡大を推進」、2018/2/14

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