薬味について

昔は各家庭でネギ、ショウガ、ニンニク、コショウ、シナモン、唐辛子などの薬味や香辛料が常備されていましたが、最近は薬味をとることが少なくなっています。薬味は香りと刺激が特徴ですが、なぜ「調味料」ではなく「薬味」というかというと、食材の毒を消すからです。

食材ごとに適する薬味が違います。魚の毒を消してくれるのは大葉です。肉の解毒はニンニクがよいです。豚肉や鶏肉の毒はラッキョウで消します。海のものの毒を抑えるにはワサビがよいです。ショウガは豆腐や魚、うどんの毒を消します。ショウガは植物性タンパク質、コショウは動物性タンパク質を分解します。

植物性タンパク質の代表は豆ですが、豆も結構、毒性が強いです。アジアの人は豆をよく食べるので長い時間をかけて豆の毒を消せるように進化してきましたが、欧米の方の中には豆を食べると中毒症状が出る方がいます。

野菜を食べる時も解毒は必要です。例えば、トマト、ナスビ、カボチャ、ズッキーニなどナス科の野菜には強い毒があります。華岡青洲の麻酔薬の主成分は曼陀羅華というナス科の植物です。品種改良を重ねて毒性は弱くなっていますが、家庭菜園ではトマトやナスビにはあまり虫がつかないことからも毒性があることがわかります。

ナスビの葉を食べると急激に心拍が上がります。ナスビの花も食すと瞳孔が開いて心拍が上がります。幼稚園で野菜を作っていて、子どもたちがナスビやトマトの花を誤って食べてしまい、手がふるえるという事故がたまに起こっています。

野菜の解毒にも薬味が活躍します。ナスビにはショウガや唐辛子、ニンニクを使います。大阪の水なすは粗塩でもむなど、ナスビは調理の際によく塩を使いますが、塩にも薬味の役割があります。塩を入れたら尿が出ますが、それも解毒になります。トマトにはニンニクを使います。

食品そのものの毒以外にも、流通において発生する毒もあります。例えば、遠方からトマトを運ぶ時、熟したものだと途中で腐るので青いトマトの状態で運びます。青いトマトは薬品をつけたら赤くなりますが、青いトマトにはまだ毒があります。輸入された果物には防かび剤が使われています。

未熟な果実を食べられてしまうと子孫を残すことができないので、未熟なものには毒があります。未熟な青い状態のリンゴをマウスに食べさせ続けると不妊になります。リンゴは成熟すると香りが出て虫を呼ぶのでリンゴの香りが出たら農薬をかけるとリンゴ農家の方に聞いたことがあります。農薬をかけないと虫が先に食べてしまって売れなくなるから仕方がないと言っておられました。

現代社会において、農薬を使わない食材だけを口にするのは非常に難しいです。現実的な対応として、食材をよく洗い、解毒を助けてくれる薬味を活用するとともに、便秘にならないようにする、適度に汗をかく、尿をしっかり出すといった自分の解毒機能を整えることが大切です。

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