【BOOK】『失われてゆく、我々の内なる細菌』 膣細菌叢について


Janice Carr Content Providers(s):    CDC/Dr. Mike Miller – This media comes from the PHIL

現在、注目を集めているマイクロバイオーム研究は不妊治療においても重要なトピックの一つです。

最近まで乳酸桿菌が膣を感染から守り、それ以外の細菌が常在する女性の膣はより病気になりやすいと考えられていましたが、そうではないことが徐々にわかってきました。マーティン・J・ブレイザー著、『失われてゆく、我々の内なる細菌』に関連する部分がありますので、以下、引用しながら紹介します。

数百人の健康な女性の膣細菌の遺伝子塩基配列を調べてみると、膣細菌の細菌叢には5つの主要な型があり、特定の乳酸桿菌が優勢なのはそのうち4つだけで、残りの一つは乳酸桿菌を欠いていることがわかった。このタイプの女性は勢力の拮抗するいくつかの種の細菌を有していた。しかもそれまで長く信じられていたことに反して、そうした女性が膣の不調に苦しみやすいといった傾向は見られなかった。そうした女性は少数派ではなかった。3分の1の女性がこうしたタイプの膣細菌叢を有していたのである。

『失われてゆく、我々の内なる細菌』、p35より引用。

乳酸桿菌がない女性の膣酸性度はやや穏やかではあるものの防御的環境はあるとのことで、「乳酸桿菌がない=病気になりやすい」という単純な話ではないことがわかってきました。

また、女性の膣細菌叢が時間とともに変化することも明らかになりました。

例えば、月の最初にはラクトバチルス・イネルスが優勢だったとしても、生理の時にはラクトバチルス・ガセリが優勢になり、生理が終わるとラクトバチルス・ガセリは退勢になる、という場合がある。

『失われてゆく、我々の内なる細菌』、p35より引用。

ただ、著者によるとこれは例外的にわかりやすいパターンであり、明らかなパターンはないのが普通で、どうしてこのような変化があるのかは「依然として謎のまま」です。

<参照>
■マーティン・J・ブレイザー、『失われてゆく、我々の内なる細菌』、みすず書房

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