「小さく生んで大きく育てる」は避けたい

産科医の竹内正人先生が、やせ妊婦さんの増加による影響を指摘するコラムを神戸新聞に書かれていました。浜松市の調査によると、体重に関係なく妊婦さんの1日平均摂取カロリーが1600キロカロリーを下回っていたそうです。非妊娠女性の必要エネルギーにも満たず、これでは低栄養下におかれた赤ちゃんに影響が出ます。

この記事を読んで、2018年12月に開催された子宝カウンセラーの会で英ウィメンズクリニックの十倉陽子部長が同じことを言われていたのを思い出しました。

十倉先生は、30年前と比較して現在は出生体重が200グラム以上減少し、2500グラム未満の低出生体重児が毎年約10万人誕生していることを「深刻な状況」と言われていました。しかも満期の低出生体重児が多く、若い妊婦の低出生体重児が増えているとのことでした。

十倉先生は「『小さく生んで大きく育てる』は避けたい」として、その理由を以下のように述べておられました。

やせている女性は切迫早産、早産、低出生体重児分娩のリスクが高いです。低出生体重児は成人後の心血管障害による死亡リスクが高いというBarker仮説はじめ、関連する疾患に虚血性心疾患、Ⅱ型糖尿病、高血圧、メタボリック症候群、脳梗塞、脂質異常症、神経発達異常などがあります。

Barker仮説から発展したDOHaD仮説は、母体環境によって胎児の遺伝子の表現形が修飾され、その後の疾病リスクに関与するというものです。遺伝子は変わりませんが遺伝子の働きのどれがONになってどれがOFFになるのかを調整する記憶が残るということです。どの遺伝子が働いてどの遺伝子が働かないかの目印をつけるのがエピゲノム変化で、葉酸代謝が関わります。胎生期の一部のエピゲノム変化は一生変化せず、時に世代を超えて継続しますが、栄養や胎内環境でエピゲノムは変えられます。妊娠前から妊娠中、授乳期間中にエネルギーや栄養素を適切に摂取することで病気を予防できる可能性があります。

低栄養はお母さんへの影響も大きいですし、栄養状態の改善には時間がかかります。子どもを産んでも体型を維持したいという気持ちはわかりますが、母子ともに健康であることが第一であると考えます。

子宝カウンセラーの会では不妊治療をはじめ妊娠、出産に関連する最新の情報を提供しています。

2019年9月8日に開催予定の第49回子宝カウンセラーの会は特別に第4回統合医療生殖学会として開催され、国立感染症研究所 感染症疫学センター 第三室室長の多屋馨子先生と明治34年創業の宝永亀屋薬局の古賀建次先生にご講演を賜り、症例パネルディスカッションも予定しています。もちろん、私も講演させていただきます。会場でお目にかかれたらうれしく思います。ぜひ皆様お誘い合わせの上、ご参加いただきますようお願い申し上げます。

<参照>
■竹内正人、「産科医が語る物語と真実(6)やせ妊婦さんの増加」、神戸新聞、2019/8/19
■十倉陽子、「当院で取り扱っているサプリメント」、第46回子宝カウンセラーの会、2018/12/9

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