父親の殺虫剤の使用頻度が上がるにつれて男児の出生割合が低下

兵庫医科大学公衆衛生学主任教授の島正之さんの研究グループが、父親が殺虫剤を使用していると男児が生まれる割合が低くなると発表しました。比企野綾子さんがMedical Tribuneに掲載された記事、「父親の殺虫剤への曝露が児の男女比に影響」を要約してご紹介します。

島さんの研究グループは、パートナーの妊娠が判明するまでの約3カ月間、父親が殺虫剤、医療用消毒薬、水銀、放射線など23種類の化学物質を半日以上使用した頻度を回答してもらい、出生児の性比との関連を検討しました。

その結果、殺虫剤と医療用消毒薬に関連が見られ、殺虫剤を使用しない父の男児の割合は51.1%でしたが、月に1~3回、殺虫剤を使用する父親の児は50.7%、週1回以上使用する父親の児は44.5%と、殺虫剤の使用頻度が上がるにつれて男児の出生割合が低くなりました。

また、医療用消毒薬を使わない父親の児のうち、男児の割合は51.1%だったのに対し、週1回以上使用する父親の児の割合は48.9%と、男児の出生割合が低い傾向が示されました。これらの関連性は、母親の妊娠初期における化学物質への曝露を調整後も維持されました。

日本だけでなく、他の先進国においても、近年は男の子が生まれる割合が低下する傾向が見られます。同論文で記されているように、殺虫剤への曝露は精子の性染色体ダイソミーの高率を含む精液の質の悪化と関連があると報告されています。今後の関連の報告が注視されます。

<参照>
■比企野綾子、「父親の殺虫剤への曝露が児の男女比に影響」、Medical Tribune、2020/1/ 8
■Masayuki Shima et al., Paternal occupational exposure to chemicals and secondary sex ratio: results from the Japan Environment and Children’s Study, THE LANCET, DECEMBER 01, 2019, DOI:https://doi.org/10.1016/S2542-5196(19)30239-6
■Photo by John Lambeth

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