キャビア並みに珍重されるアリ

Illustrated by acworks

近年、世界的に昆虫食が注目されていますが、無印良品で発売された「コオロギせんべい」が即完売になるなど日本でも関心が高まっています。

コロンビア北部にあるコーヒーの産地としても有名なサンタンデールでは、お尻の大きな女王アリはキャビア並みに珍重されています。

バリチャラで最も重要なイベントはクリスマスでも新年でもなく、La Salidaです。毎年、3月か4月に行われ、最大2カ月続くLa Salidaの期間中、地元の人々はアリを捕まえにいくので町はもぬけの殻になります。アリは1キロあたり約9000円で取引されます。これはコーヒーの数倍の価格で、1日で1週間分の収入を得ることができます。

アリはサンタンデールとその周辺地域で約1400年、食されてきました。卵を持っている茶色の大きな女王アリはピーナッツやポップコーンのような味で、あぶって塩を振ればカリカリしたベーコンのような味です。最近はグルメ食材として首都ボゴタの高級レストランでも使われています。

地元の人たちは自分たちが長寿で健康な生活を送っているのはアリを食べているからだと言います。実際、アリにはタンパク質や高コレステロールを防ぐ不飽和脂肪酸が豊富に含まれ、Frontiers in Nutrition誌に掲載された研究によると、アリは高レベルで抗酸化物質を含み、常食すればがん予防に役立ちます。また、「アリは私たちに特別な力をもたらす」ということで媚薬とみなされ、しばしば結婚祝いとして贈られます。

<参照>
■Peter Yeung , Could eating ants help us live longer?, BBC News, 9 July 2020