温灸で冬病夏治


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子宮内膜症は、子宮内膜組織が子宮以外の場所で増殖、剥離を繰り返す病気です。生殖年齢の女性の約1割が罹患しており、強い痛み、月経困難症、性交痛、排尿痛、不妊症、疲労感などの症状があります。原因は明らかでなく、ホルモン療法で症状をコントロールできる患者さんもいますが、手術をしても改善しない患者さんもいます。

東洋医学では、体が冷えていると血のめぐりが悪くなり、病気のもとになると考えます。子宮は血液が充分にめぐっていることが大切ですが、最近は若い方でも冷えている方が少なくありません。子宮内膜症の予防、改善のためには冷えを放っておかないことが大切です。

冷えの解決方法はいくつかありますが、この季節にお勧めなのは温灸です。この時期、中国では三伏天灸を求める患者さんで鍼灸院は大忙しです。三伏天灸は冬病夏治、すなわち「喘息や気管支炎など冬の病気は夏に治す」という考え方で、清代にその風習が始まりました。店ごとにショウガを使ったり、ニンニクを使ったりと工夫を凝らし、背骨に沿って温灸で体をあたためます。

温灸すると体があたたまり、リラックスできますが、この時期に行うと冬の病気への備えもできて一石二鳥にも三鳥にもなります。夏の暑さによる体の疲れを癒すのにも適します。温灸で陽気を養い、体をいたわってあげてください。