世界的にはしか患者が急増


Illustrated by ふもり

2019年、世界で麻しん(はしか)により死亡した人の数はこの23年間で最多の20万7500人であるとWHOが発表しました。

はしかは感染力が極めて強く、妊婦さんが罹患すると妊婦さんや胎児に合併症が起こることもあります。有効な治療法が存在しないため、発症させないことが重要です。はしかの免疫を獲得するにはワクチン接種が有効で、子どもの定期接種(第1期、第2期)を受けると95%以上の方が免疫を獲得できます。アウトブレイクを防ぐには人口の95%がワクチン接種を2回受けている必要があります。しかし2010年以降、世界的に接種率は1回目が85%、2回目が71%にとどまっています。

さらに新型コロナウイルスのパンデミックでワクチン接種が混乱しており、感染者はさらに増えるのではないかと公衆衛生の専門家は危惧しています。2020年になってからコロナでワクチン接種を保留している26カ国の少なくとも半分の国で、すでにはしかのアウトブレイクが起こっており、2020年11月時点で9400万人がはしかのワクチン接種を受けられない状況にあります。

感染症に国境はありません。グローバルに人やモノが行き来する今、「遠い外国で起きていることだから関係ない」ではすまないのです。予防は治療に勝ります。はしかの罹患歴がない方、ワクチン接種を受けていない方、2回のワクチン接種歴が明らかでない方は十分な免疫を獲得していない可能性があります。免疫があるかどうかの検査もできますのでご確認ください。

<参照>
■Jan Hoffman, Measles Deaths Soared Worldwide Last Year, as Vaccine Rates Stalled, The New York Times, Nov. 12, 2020
麻しんについて、厚生労働省