機械学習で妊娠糖尿病の発症を初期に予測


Illustrated by nanaign

上海交通大学の研究チームが、妊娠糖尿病の発症を妊娠初期に高精度で予測可能な機械学習モデルを開発したと発表しました。研究チームは妊娠4カ月のデータ変数、73項目から17個の変数を選択し、さらに臨床応用を容易にするために7つの変数を選択しました。約15000件の症例データを用いて解析したところ、高い予測能を持つことが確認され、共著者は「臨床医が妊娠初期に糖尿病のリスクが高い女性を特定し、食事を含む介入を早期に開始するのに役立つ」と述べています。

論文内で、なぜこのシステムを構築したのかという理由が述べられています。子宮内の高血糖環境は胎児の健康を損ねるおそれがあり、国際的な糖尿病研究機関は、一般に妊娠24~28週で妊娠糖尿病を診断することを推奨しています。しかし、理論的には妊娠糖尿病を診断される前に、胎児は既に子宮内高血糖環境にさらされていることが考えられ、実際に妊娠24週で非妊娠糖尿病群と比較して胎児の異常が確認されています。

研究チームは妊娠24~28週に検査をするのでは介入には遅すぎると考えました。妊娠12週までの早い時期に妊娠糖尿病のリスクが高いグループを特定できれば、食事を含めて早期に介入することができます。そのために初期の予測モデルを確立することが不可欠だと考え、今回の機械学習モデルを開発したということです。

このことは、妊娠してから身体づくりをしていては遅いということを改めて思い出させてくれます。妊娠、出産を希望されている方は、妊娠する前の体づくりを大切なステップと位置付けてほしいです。

<参照>
■Yan-Ting Wu et al., Early Prediction of Gestational Diabetes Mellitus in the Chinese Population via Advanced Machine Learning, The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, dgaa899, https://doi.org/10.1210/clinem/dgaa899, Published: 22 December 2020

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