冷えのぼせに温灸


Illustrated by モネコ

「自分は冷え症だ」と自覚されている方は普段から身体を冷やさないように気をつけられておられますが、「自分は暑がりだ」と思っておられる方の中にも、実は冷えておられる方がおられます。「手足がほてって布団から出てしまう」「しょっちゅう汗をかいている」「熱はないけれども頭が熱っぽく感じる」という方の中には下半身にあるべき熱が上半身に上がってしまう「冷えのぼせ」の場合が多いです。こういう方には「おなかが冷たい」「鼻の頭が赤い」「唇の色が紫」などの体の中が冷えているサインが現れます。春は特に冷えのぼせが起こりがちですが、冷えの自覚症状がないだけに厄介ともいえます。

からだを温めるために、私がお勧めしたいものに温灸があります。東洋医学では「経絡の流れをよくすることによって病を癒し、健康を維持する」という考え方があります。経絡を流れているのが「気」と「血」です。「気」はエネルギーの源、「血」は血液を含む体液の総称で体の隅々まで栄養を運びます。温灸は経絡上のツボや患部を温めて気血のバランスを取り、その結果、冷えの改善が期待できます。

温灸は熱が深く浸透するので体の芯から温めることができます。温灸をするのにおすすめの場所は鼠径部です。鼠径部を温めると足の陽明胃経の働きがよくなります。人迎や神闕というツボや、耳もよいです。耳は『黄帝内経霊枢』で「宗脈の集まりなり」、すなわち「耳の中にはあちこちから気が流れ込んでいる」と記されており、耳を温めれば全身があたたまります。心や体が緊張していると耳もかたくなります。耳を温めることでその緊張もほぐすことができます。

<参照>
■邵輝 塩谷雅英、『赤ちゃんを授かりました! 無理せず妊娠力をアップする不妊克服ガイド』、東邦出版

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