ひな祭りとハマグリ


Illustrated by tawtaw

女の子がおられるご家庭ではそろそろひな人形の飾りつけも終えられた頃かと思います。ハマグリのお吸い物はひな祭りのごちそうによく供されますが、ちょうど旬を迎えるハマグリは本草綱目にも「上品」として「のどの渇きをやわらげ、利尿作用がある」と記載があります。解毒が必要な春にはうってつけの食材といえます。

日本ではハマグリはとても古くから食されており、『古事記』ではハマグリの女神と赤貝の女神が焼け死んだ大国主命の命をよみがえらせています。ハマグリの女神であるウムカイヒメが大国主命に「母(おも)の乳汁(ちしる)を塗り」て治療したら大国主神は息を吹き返したとあります。ハマグリの汁が母乳に例えられており、母乳が持つ生命力を育てる力や回復を促す力がハマグリにはあると信じられていたのだと思います。

ひな祭りにハマグリを食べるのは、ハマグリは元々の組合せ以外の貝殻とはぴったり合わないことから「よい伴侶にめぐり合い、末永く共にいられますように」との願いが込められているとも言われます。生命を育み、よいご縁をもたらすハマグリをぜひ旬のうちに召し上がってください。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする