父親の健康状態が流産リスクに関連の可能性


Illustrated by 麦

父親に肥満、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症などメタボリックシンドロームの病状が3つ以上ある場合、妊娠の4分の1以上が子宮外妊娠、流産、死産に終わる可能性があると米スタンフォード大学のマイケル・アイゼンバーグ准教授の研究グループが発表しました。

研究グループが米国の2009年から2016年までの約100万件の保険請求データから妊娠に関するデータを解析したところ、父親がメタボリックシンドロームの要素を持たないカップルが妊娠を失うリスクは17%でしたが、父親がメタボリックシンドロームの要素を1つ持つカップルでは21%、2つでは23%、3つ以上だと27%に増加することがわかりました。

「この研究では父親の健康状態の悪さが流産の原因であることを証明することはできませんが、関連性があることを示しています。これらの発見の臨床的意義は、父親の健康が妊娠に重要な影響を与える可能性があるため、妊娠前のカウンセリングは父親を忘れてはならないということです」とアイゼンバーグ准教授は言います。

父親の健康が流産リスクに影響を与えるメカニズムは現時点では不明ですが、今後は父親の健康も含めて不妊治療関連の研究が行われることが増えていくのではないかと思います。

<参照>
Health of fathers-to-be is linked to risk of pregnancy loss, European Society of Human Reproduction and Embryology
■Michael L Eisenberg et al., Association between preconception paternal health and pregnancy loss in the USA: an analysis of US claims data, Human Reproduction, Volume 36, Issue 3, March 2021, Pages 785–793, https://doi.org/10.1093/humrep/deaa332, Published: 18 December 2020 Article history