アントシアニンは他のものにも含まれているのに、なぜ「ブルーベリーが目によい」といわれるのか


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「ブルーベリーは目によい」とよくいわれますが、ブルーベリーが視力を高める効果が見つかった経緯について、田中修著、『ありがたい植物』におもしろいエピソードが書かれています。

第二次世界大戦中、夜間や明け方など視界が良くない状況でも、英空軍のあるパイロットが大きな戦果をあげており、その理由を尋ねられて、「ブルーベリージャムをつけたパンを食べてから戦闘に飛び立つと、うす明かりの中でも物がはっきりと見えるからです」と答えました。彼はパンの厚さ以上にブルーベリージャムをたっぷり塗って食べていたそうです。

戦後、この話をヒントに研究が進められ、ブルーベリーに含まれる赤紫色の色素であるアントシアニンにロドプシンの合成を活発にする働きがあることがわかりました。
ロドプシンは網膜にある物質で、目を使っていると徐々に分解されてなくなってしまいます。

アントシアニンは他の多くのものにも含まれているのに、なぜ「ブルーベリーが目によい」といわれるのかについて、田中先生はこう説明されています。

アントシアニンという名称は総称であり、デルフィニジン、シアニジン、ペチュニジン、ペオニジン、マルビジンなどの種類があります。それぞれが効能を持ち、その強さも異なります。アントシアニンを含むと言われるものには、これらが組み合わされて含まれます。

つまり「アントシアニンを含む」と言われる場合、アントシアニンの種類、量、組み合わせ、比率が違うため、効能も違うというわけです。さらに、同じ果物でも品種によって異なります。

ブルーベリーのアントシアニンは骨粗しょう症の予防にも効果があるという発表もあります。
ふだんは冷凍で食すことが多いブルーベリーですが、夏は生で食べられる絶好の機会です。
ぜひ摘みたてのブルーベリーを楽しんでください。

<参照>

■田中修、『ありがたい植物 日本人の健康を支える野菜・果物・マメの不思議な力』、幻冬舎