重陽の節句と菊


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9月9日は重陽の節句です。中国では奇数を陽数といい、縁起がよいとされているので、陽数の中でも最も大きな「9」が重なる9月9日は最も縁起がよい日なのですが、一方で、陽が極まると陰が生じるという考え方から、邪気を払う風習もあります。

重陽の節句といえば菊の花です。旧暦の9月は菊が美しく咲くころであり、菊には邪気を払う力があると考えられています。お酒が好きな方は、食用菊を浮かべるのも趣があります。

「高貴」の花言葉を持つだけあって、飾っても美しいですが、菊は大変有用で、漢方としても使われます。有名なものに桑菊飲と杞菊地黄丸があります。桑菊飲は感染症に使われます。刺身には食中毒予防のために菊の花が添えられますが、菊には抗菌作用があります。杞菊地黄丸は高血圧と目の赤みに使われます。

目をすっきりとさせるのに、中国では菊花茶がよく飲まれます。清代の紫禁城で結膜炎が流行した時、皇帝も菊花茶を飲んだと言われています。秋になり、乾燥によるのどの痛みにも菊花茶はおすすめです。ただ、菊花は体を少し冷やすので、冷え性の方は気をつけてください。