アフリカ納豆


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インドネシアのテンペ、ネパールのキネマ、日本の納豆を結んだ三角形が「納豆トライアングル」と呼ばれることから、納豆はアジアの食文化であるように思われていますが、アフリカにも納豆があります。

九州大学農学部遺伝子資源研究センターの原敏夫先生は、『納豆のルーツを求めて』の中で、西アフリカのサバンナで食べられているマメ科の樹木の種子であるローカストビーンを完熟発酵させた「ダワダワ」という伝統発酵調味料を紹介しています。
原先生がダワダワの発酵微生物を調べたところ、納豆菌が分離、同定されました。

アフリカ人類学者の清水貴夫先生は、西アフリカのブルキナファソで食べられている「スンバラ」を紹介しています。
スンバラは考古学の資料で約2000年前から食べられていたと言われ、ネレの実や草の種など、その地方でとれる豆を煮立て、乳酸菌や酢酸菌によって発酵させたものです。
最近は、大豆で作られているものもあります。

清水先生によると、スンバラは「口にしない日はまず、ない」というくらい日常的な食材のひとつで、そのまま食べるというよりも、ペースト状にしてソースに入れ、ご飯と一緒に炊き上げたり、スパゲティと一緒に煮込むそうです。

味の方はというと、清水先生が某高校で講演会をしたときに、京都の大徳寺納豆とスンバラをどちらかわからない状態で食べ比べてもらったところ、圧倒的にスンバラの方がおいしいという結果になったそうです。

もうひとつ面白いのは、セネガルでは小魚を乾燥させて発酵させたものをスンバラと混ぜて粉にして、ソースに入れるそうです。
発酵小魚のイノシン酸とスンバラのグルタミン酸の組み合わせといえば、日本ではおなじみのお味噌汁です。
おいしさを共有していると思うと、親近感がわきます。

<参照>
■原敏夫、「納豆のルーツを求めて」、化学と生物、1990年28巻10号p. 676-681、2009/05/25
■清水貴夫、『ブルキナファソを喰う!』、あいり出版