Illustrated by tomoe
日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が、妊婦さんに対する新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を優先するよう厚生労働省に要望書を提出しました。
今年に入って、妊婦さんへの新型コロナウイルスワクチンの影響に関する研究が相次いで発表されています。
日本産科婦人科学会は、妊婦さんのワクチン接種後の副反応については同世代の非妊娠女性と同等であり、重大な産科的症状が見られたのは、1回目および2回目接種後とも1％未満であると発表しました。
6,576人の妊婦さんからアンケートの回答があり、ワクチン1回以上接種済みが82.1％、2回接種済みが73.6％、未接種が17.9％でした。
産科的症状として、腹部の張り（2回目接種後に2.98％）や子宮の痛み（1.06％）が見られましたが、出⾎、胎動減少、浮腫、⾎圧上昇、破⽔のような重⼤な症状は1回⽬接種後、2回⽬接種後ともに1%未満だったことから、「ワクチン接種が症状発現にどの程度影響したかは不明」と報告されています。
また、イェール大学のヘザー・リプキン准教授のグループは、4万例を超える後ろ向きコホート研究で、コロナワクチン接種による早産、または在胎不当過小のリスク上昇は認められなかったと発表しました。
イスラエルの国立病院、シェバ・メディカルセンターなどの研究チームは、ファイザー製のコロナワクチンは卵巣機能に影響しないとの調査結果をまとめました。
18～42歳の女性129人の1回目接種の前と1回目接種から3カ月後にAMH値を調べたところ、すべての女性でAMH値に大きな変化はなかったとのことでした。
日本では、妊婦さんへのワクチン接種が積極的に勧められていますが、実績がないため不安を感じるのは無理もないと思います。
一人ひとり、体調が違いますので、担当の医師とよく相談されることをおすすめします。
＜参照＞
■ワクチン卵巣に影響せず、神戸新聞、2022/1/16
■渕本稔、コロナワクチン、重大な産科的症状は1％未満、Medical Tribune、2022年01月14日
■太田敦子、妊婦にコロナワクチン、早産などと関連なし 米・4万例超の後ろ向きコホート研究、Medical Tribune、2022年01月14日
■陶山慎晃、妊婦へのコロナワクチン、3回目優先接種を 日本産科婦人科学会、日本産科婦人科医会が要望書、Medical Tribune、2022年01月17日