マウスにおける鉄欠乏は卵胞発育不全を引き起こす


Illustrated by とびうお

第23回日本IVF学会で柳町隆造賞を受賞した、県立広島大学大学院の藤内慎梧さんらの研究グループによる「マウスにおける鉄欠乏は卵胞発育不全による雌性不妊を引き起こす」を紹介します。

同グループは、卵胞発育期のブタ卵胞液に鉄の輸送タンパク質であるトランスフェリンが血中の4倍以上蓄積されていることから、鉄が卵巣機能において重要な役割を果たしていると考えました。

そこで、通常飼料と低鉄飼料を与えたマウスを比較したところ、通常飼料を与えたマウスは規則的な性周期が認められましたが、低鉄飼料を与えたマウスは発情休止期から性周期が進行せず、卵胞発育が初期で停止することがわかりました。

同グループはさらに、低鉄飼料による妊孕性低下は、鉄を補給することで回復することも明らかにしています。
これは、臨床において、鉄を補う根拠として有用であると思います。

漢方では鉄の補給に「女性の宝」の異名を持つナツメがよく使われ、中でも鉄を多く含む黒ナツメが重用されます。
葉酸も多く含み、気を補い、精神を安定させる働きがあるナツメは、妊活中の方には特におすすめの食材です。

<参照>
■藤内慎梧 et al.、[ 柳町隆造賞 ]マウスにおける鉄欠乏は卵胞発育不全による雌性不妊を引き起こす、日本IVF学会、2020年度 年次大会-一般演題