子どもに「いっしょにおりょうりしたい!」と言われたら


Illustrated by Moto

子どもに「いっしょにおりょうりしたい~!」と言われたら、「食育のチャンス」とばかりに喜ぶべきかもしれません。

しかし、『本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』では、このコラムのタイトルは「恐怖!子どもに『いっしょにおりょうりしたい~!』と言われたら」なのです。

著者のコウケンテツさんは料理研究家なので、子どもが料理に興味を持ってくれるのはうれしいはずですが、「恐怖」なのです。

子どもと一緒に料理をしたことのある方なら、その理由はよくわかると思いますが、それでもチャレンジしてほしいし、させてあげたい。

そういうときに子どもと一緒に料理をすることが楽しい成功体験になるポイントが4つ挙げられています。
なるほど!なので、ぜひ本書を読んでみてください。

それにしても、『本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』というのは、不思議なタイトルです。
しかし、タイトルだけを見て、「それは怠け者の言い訳だ」「親の自覚がない」と目を三角にして怒らないでください。

料理は「調理をする」だけではありません。
献立作り、家計と相談しながらの買い物、冷蔵庫の管理、食卓の準備、洗い物など、たくさんのことが含まれ、時間との闘いでもあります。
がんばって作っても、「おいしくない」「量が多い(少ない)」と言われる、携帯を見ながら黙って食べる、栄養を考えて作ったから食べてほしいのに嫌いだからと言って箸をつけない、後片付けをしないなど、モヤモヤがたまるところに、毎日ごはんを作らなければいけないなら、しんどくなってしまうのも理解できます。

本書には、料理の負担を減らす方法や考え方もいろいろ書かれています。

でも、実は家族の「おいしかった」「ありがとう」という言葉があれば、解決はずっと早いのではないかと思わされるエピソードが多くあります。

食卓は家族みんなで作っていると思うのはどうでしょうか。
料理を作っていなくても、食べる人は食卓の雰囲気という最後の味付けに関わっていますし、お母さんが次の料理を作る気持ちの下ごしらえも行っています。

タイトルを見ると、(家で料理をされるのはお母さんが多いと思いますので、あえて「お母さん」と書きますが)お母さん向けの本なのかと思ってしまいますが、実は夫や子どもたちにこそ読んで欲しい本です。

<参照>
■コウケンテツ、『本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』、ぴあ