体の余分な熱を取るビワ


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「田中」「土肥」「茂木」、これらの共通点は何でしょうか。

これらは名字ではなく、ビワの品種です。

夏至を迎え、これから暑さも本格的になってきますが、日本の夏の特徴はなんといっても蒸し暑さにあります。
湿度が高いと汗が蒸発しにくいので体に熱がこもりやすく、不快度が増します。

ビワは梅雨の頃から旬を迎えます。

ビワの葉を煎じた枇杷葉湯(びわようとう)は漢方薬として用いられますが、「枇杷葉湯」は晩夏の季語になっているように、民間でも体の余分な熱を取り、のどの渇きを止めるということで重宝されていました。

ビワは咳止めとしても知られており、2018年に米国でインフルエンザが大流行したときには、ニューヨーカーたちの間で中国の咳止めシロップ、蜜煉川貝枇杷膏(ニンジョムペイパコア)が人気になりました。
蜂蜜とビワが配合されているこのシロップは、清王朝の時代に母親の慢性の咳を治すために作られたと言われています。

ビワの実の美しいオレンジ色はカロテノイドという色素によるものです。
カロテノイドは疲労回復や視力を保つ働きがあるといわれます。

おいしくて有用なビワですが、注意点もあります。

第一に、ビワの実は体を冷やします。食べ過ぎるとおなかが痛くなることがあります。

第二に、2017年にビワの種子を粉末にした食品から天然の有害物質が高い濃度で検出されたため、製品が回収される事案が複数ありました。
そのため、未熟な実や種は食べないよう、農林水産省が注意を促しています。

<参照>
■農林水産省HP、ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう、2021年1月15日更新