うつと葉酸


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葉酸は胎児の生育に不可欠なので、妊娠を希望する方は積極的に摂取するよう勧められますが、こころの健康にも関わっていることが指摘されています。

葉酸はノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンなどの神経伝達物質を合成する経路で用いられるので、葉酸不足でこの経路が上手く働かないと、こころの不調になりやすいと言われます。

英国医学研究審議会のアレック・コッペン医師の研究チームは、127人のうつ病患者を抗うつ薬と葉酸を使って治療したグループと、抗うつ薬とプラセボで治療したグループに分けて10週間観察したところ、前者の方が後者より症状が有意に改善し、特に女性において治療効果が明らかだったことを報告しています。

妊活中はとかくストレスがかかりますから、こころの安定のためにも葉酸は意識して摂取していただきたいです。

葉酸を多く含む食材はいろいろありますが、この時期にぜひ食べていただきたいのが生のナツメです。日本ではあまり生のナツメを食べることはありませんが、シャリシャリした食感で甘みがあります。

ナツメは漢方薬としても用いられますが、気持ちを落ち着かせて気血を増やすので、中国ではお茶や食事に日常的に使われます。
ぜひ今だけの味覚を楽しんでください。

<参照>
■A Coppen et al., Enhancement of the antidepressant action of fluoxetine by folic acid: a randomised, placebo controlled trial, J Affect Disord. 2000 Nov;60(2):121-30. doi: 10.1016/s0165-0327(00)00153-1.