医薬品の供給不足


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医療用の医薬品全体のおよそ2割にあたる3000品目以上において出荷が止まったり制限されていると厚生労働省は推定しています。
アレルギー、高血圧、リウマチ、胃炎、脳卒中などさまざまな病気が対象で、解熱鎮痛剤や抗菌薬なども含まれています。

2020年12月に発覚した医薬品メーカー、小林化工の製造工程不正隠蔽に端を発する医薬品供給不足の影響が大きかったとはいえ、それだけが原因ではないため、当面は今の状況が続くと見込まれています。

不妊治療においても例外ではなく、排卵誘発剤のレコベル、排卵抑制剤のガニレストとセトロタイドの限定出荷が行われています。

不妊治療の保険適用に伴う需要増加が一因ですが、レコベルは国際物流の停滞で追加の緊急輸入が困難な中、欠品リスクを回避するための限定出荷ということで、国内での増産のみで(医薬品製造の設備投資はこれだけでも大変な業務ですが)解決できない複雑さがあり、メーカーも限定出荷解除の見通しが示せない状況です。

私は不妊治療の漢方相談にも携わっていますが、近年は資源の減少に加えて、欧米企業からの買い付けが急増していることから、生薬の価格が高騰しており、漢方薬も入手が難しくなっています。

必要な薬を安定的に供給することの難しさを改めて感じます。

<参照>
■河野さくら、「不妊治療薬が供給不足、医療現場で計画遅延 「レコベル」など3製品、保険適用による需要増影響」、日刊薬業、2022/10/14