東北大 新型コロナ急性期症状における漢方薬の発熱緩和や重症化抑制を確認


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東北大大学院の研究チームが、新型コロナウイルスの軽症~中等症Ⅰにおいて、急性期症状緩和と重症化抑制に漢方薬が有効である可能性を示す研究結果を発表しました。

以下、プレスリリースより要約して引用します。

2020年1月1日から2021年10月31日まで、全国23の医療機関から得た962名の患者データを用いました。うち漢方薬を含んだ対症療法を受けたのは528名、漢方薬を含まない対症療法を受けたのは434名でした。

ステロイド投与を受けず、発症から4日以内に治療を開始した症例で統計解析を行ったところ、漢方群の呼吸不全悪化リスクは、非漢方群に比べて有意に低い結果となりました。
使用頻度が多かった漢方薬は葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏の併用でした。

早期の漢方薬治療が病状悪化リスクを抑制する可能性が示されたので、さらに全国7施設共同ランダム化比較試験による検証が行われました。

軽度および中等度のCOVID-19患者161名を、解熱剤や鎮咳剤を投与する通常治療群と、漢方薬の葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏を投与する漢方治療群にランダムに割り付け、その効果を比較検討したところ、漢方薬群に発熱症状の早期緩和と中等症Ⅰ患者における呼吸不全悪化抑制が示されました。

東北大大学院医学系研究科の高山真特命教授は「新規薬剤は治験を行う医療側の負担も大きい。漢方薬は安価で安全性が高く、すぐに使える」とコメントしています。

<参照>
新型コロナウイルス感染症の急性期症状に漢方薬 漢方薬投与による発熱緩和、重症化抑制を確認、東北大学、2022年11月28日
コロナ急性期にあの漢方薬が有効 東北大医のチームが突き止める、河北新報、2022年12月2日