因幡の白ウサギとガマ


Photo by おとは☆

今年の干支はウサギです。
日本で一番有名なウサギといえば、やはり因幡の白ウサギではないでしょうか。
だましたサメに皮をむかれたウサギは、だいこくさまに言われたとおりに真水で体を洗い、ガマの花の上に寝転んで傷を治したという話です。

驚きなのは、これが作り話ではなく、ガマの花粉である蒲黄は、古代から止血、通経、利尿のために薬として使われていたということです。
今でこそ血管収縮作用があるフラボノイドが含まれることがわかっていますが、古代の人たちの知恵には驚かされます。

古くから私たちの生活に深く関わってきたガマは、今も意外なところにその名前を残しています。

例えば、カマボコは漢字で書くと「蒲鉾」ですが、これは、カマボコは昔はちくわのように棒のまわりに盛られていて、それがガマの穂先である「がまほこ」に似ていたからと言われます。

また、ふとんは漢字では「蒲団」と書きますが、これは種についている白い毛を座布団に入れたからとも、ガマを編んでむしろを作ったからとも言われます。

<参照>
■稲垣栄洋、『身近な雑草の愉快な生きかた』、筑摩書房