WHOが伝統医療の活用を提唱


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2021年10月、姫路市で第72回WHO西太平洋地域委員会が開催され、後藤厚生労働大臣はじめ各国の保健大臣が出席しました。

数々の議題がありましたが、東洋医学などの伝統医療の活用が決議されたのは大きなトピックで、世界保健機関(WHO)は「疾患中心のアプローチから、個人および地域社会中心の健康へのアプローチへの移行に役立つ」と発表しています。

WHOの葛西健西太平洋地域事務局長は、生活の質の向上における伝統医療と補完医療の役割について、「エビデンスに基づいた、安全で品質が保証された伝統的および補完的な医療サービスは、健康と幸福を達成するための全体論的で患者中心のアプローチに貢献する上で価値がある」「伝統医学は高齢者や慢性疾患を持つ人々の健康と幸福に特に重要な役割を果たすことができる」と述べています。

この流れに違わず、近年、東洋医学も世界的に存在感を増しつつあります。
米国では2020年に公的医療制度で慢性腰痛の針治療が保険適用になるなど、欧米でも臨床での採用が増加しています。

日本においてはどのような形で具体化されるのかはまだ明らかではありませんが、急速な高齢化と非感染性疾患の増大を考えると、東洋医学は今後、重要な役割を担うと考えられます。

<参照>

Regional health leaders agree on actions to promote health through schools, harness traditional and complementary medicine, World Health Organization, 28 October 2021
■Gilbert Felongco, Post-COVID Asia Pacific turns to traditional medicine, Sci Dev Net, 13/11/2021
■邵輝、「世界的に注目度上昇中 古くて新しい東洋医学」、ヘルスプラス、Vol.44 Winter 2022