TPO(トリメチルベンゾイル ジフェニル ホスフィン オキシド)を含むジェルネイルがEU加盟国で販売禁止になりました。TPOはジェルネイル等で紫外線またはLED光を使って硬化させる際に使われる光重合開始剤の一つです。
EUの化粧品規則では、物質の危険性をラベル表示などで示す義務があります。TPOが「CMRカテゴリ1Bの生殖毒性物質」と分類されたことで、化粧品中での使用が2025年9月1日以降、全面的に禁止となりました。
SCCS(消費者安全に関する科学委員会)によるレポートでは、TPOの短期および亜慢性毒性について、以下のように報告されています。
ラットを使用した28日間毒性試験では、体重増加の減少、肝臓および腎臓の重量増加、精巣萎縮など、いくつかの有害な影響が観察されました。また、経口投与した90日間毒性試験では、精巣萎縮、平均精巣重量の減少、および平均体重の減少が観察されました。生殖毒性においては、母動物の体重増加の減少と、胎児における肢骨の湾曲を持つ発生率の増加が観察されました。高用量群動物における親動物には妊娠率0%や、雄における精巣の異常が含まれます。
SCCSは2015年に「特定の専門的なUV硬化型ネイルジェルにおいて、所定の条件下で最大5%までのTPOは安全である」と結論付けましたが、今回、分類がカテゴリー2からカテゴリー1に格上げされたことで、人々の健康保護のために、新規販売はもちろん、在庫であっても商業的に販売・流通・提供することは即時に禁止され、ネイルサロンなどのプロフェッショナルユーザーにも適用されます。
EUの規制は国際標準に影響を与えますから、日本のネイル産業においても、今後、TPOフリーかどうかが選択肢になってくると思われます。
<資料>
■TPO in Nail Products – Questions & Answers, European Commission, 7 August 2025
■Safety Assessment of Trimethylbenzoyl Diphenylphosphine Oxide as Used in Cosmetics, Cosmetic Ingredient Review, November 21, 2024

