腎陰を補う卵

 


Photo by chocoパフェ

 

卵が健康に良い食材であることを知ってもらうことを目的に、「いい(11)たまご(05)」の語呂合わせから、11月5日は卵の日とされました。

 

ふだんの食卓に欠かせない卵ですが、中国医学の古典である『傷寒論』には、生薬として掲載されています。補陰、補血、けいれん止め、精神安定の働きがあるとされ、不眠や精神不安、めまい、下痢などに用いられます。
日本でも江戸時代には卵が食べられていました。腎虚には生卵がよいと言われ、寒卵は特に栄養価が高いと珍重されました。

 

立冬を迎え、冬の養生を考える際に、卵はとてもよい食材です。冬の養生のポイントは、体のエネルギーを貯蔵する腎を補い、寒さに負けない体力を蓄えることです。
薬膳的に、卵には体の潤いやエネルギーの根本となる腎陰を補う作用があるとされます。気と血を補い、不安をやわらげる働きもあります。

 

卵は他の食材と組み合わせることで、一層、その力が発揮されます。卵にはビタミンCが含まれないので、緑黄色野菜と組み合わせると栄養学的にパーフェクトになります。
薬膳的な相乗効果を高めたいなら、補腎や体力回復には豚肉や牡蠣、山芋など、そして精神安定や不眠には百合根やアサリなどと組み合わせるとよいです。

 

コレステロールが多いからと卵を避けられる方もおられますが、卵黄に含まれるレシチンには血中コレステロールを溶かす働きがありますので、食べすぎなければ過度に心配する必要はありません。

 

余談ですが、青森には「けいらん」という郷土料理があります。
「けいらん」という名前といい、すまし汁であることといい、見た目から卵と思って食べると、初めての方はきっと驚かれると思います。卵に見えるものの意外な正体は、ぜひご自身で味わってみてください。

 


Photo by 公益社団法人青森県観光国際交流機構

 

 

 

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