国際フェリー「鑑真号」が神戸港に初入港


Ⓒ一般財団法人神戸観光局

中国上海-神戸・大阪間を約48時間で結ぶ国際フェリー「鑑真号」の新造船が先月、神戸港に初入港しました。

船名の由来となったのは、歴史上でも有名な唐の高僧、鑑真和上で、日本と中国を結ぶ唯一の航路として1985年に開設されました。

鑑真和上は幾多の困難を乗り越え、失明しながらも来日して日本仏教の発展に寄与したことで知られています。さまざまな大陸文化も伝えるなかで医学においても大きな貢献をされ、薬の処方や真偽・保存方法などを伝えたといわれています。鑑真和上が持ってきた薬の一部は正倉院に収められています。

鑑真和上と聞いて一番に頭に浮かぶのは、漢方の野崎薬局の野崎康弘先生です。野崎先生は何十年も前から鑑真和上への恩返しと言うことで、国際的にさまざまな活動をされ、多くの縁をつなぎ続けています。

鑑真和上が建立した唐招提寺の薬草園再建にも大きく尽力されています。金堂改修工事にあたり、取り壊されることになった薬草園を何とか残したいということで、野崎先生が主宰される神薬才花苑は20年以上も薬草や薬木を預かり、無事、新しい薬草園に移植されました。その後も定期的に薬草園奉仕ということで趣旨に賛同される多くの方々と一緒に薬草の世話を続けておられます。

長年にわたって無私の活動を続けておられる野崎先生、そしてその志に賛同して力を寄せられる多くの方々にただただ頭が下がる思いです。本当にすごいことです。

新型コロナウイルス感染症の流行で2020年1月から中断していた鑑真号の旅客運行は、上海港の改修が完了する9月に再開が予定されています。

鑑真和上が繋いでくださったご縁にあやかり、鑑真号が日中友好の新しいシンボルのひとつとなることを願います。

<参照>
■西井由比子、「鑑真号」新造船、神戸に初入港 日中結ぶフェリー、客室ゆったり48時間の旅 旅客輸送は9月再開の見通し、神戸新聞、2024/6/17