時代を超えて読み継がれる『養生訓』


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「食事こそ養生の基本」と主張する本は数え切れないほどありますが、最も有名なものとして挙げられるのは、江戸時代の学者、貝原益軒によって書かれた『養生訓』ではないでしょうか。

益軒は「自分の命は天が決めるのではなく、自分の心がけ次第」と言いますが、若くして両親を亡くし、病弱な体質であったのに、80歳を過ぎても歯は1本も抜けず、夜でも細かい文字が読め、84歳まで生きた益軒が言うと非常に説得力があります。

益軒が説く養生の三つのポイントは、第一に未病のうちに対処することです。ここからが病気でここまでは健康という線引きはできません。症状が重くなってしまってからでは治すのも大変なので、小さな違和感に気づき、早めに生活を整えます。第二に食事を基本とすることです。『養生訓』では腹八分目、野菜中心、旬の食材を食べることが推奨されています。第三に医者や薬に頼りすぎないことです。自身の健康を守るために医療について学び、実践する自立的な姿勢が大切です。

これらのことは、私を含め、多くの方が折に触れ口にされているので「またその話か」と思われるかもしれません。しかし、そんな「簡単なこと」が繰り返し語られることこそが、実践がいかに難しいかを表す証拠であるように思います。

長い時間をかけて読み継がれてきたものには、読むたびに発見がある奥深さがあります。講談社学術文庫の『養生訓』は現代語訳なので読みやすいです。良書を心の糧とするのも養生のひとつです。

<参照>
■貝原益軒(著) 伊藤友信(翻訳)、『養生訓』、講談社