米国で、タフツ大学を中心に「食は薬プログラム(Food is Medicine:FIM)」が進められています。
最近の研究から、医療ニーズに合わせた食事や農産物の処方、栄養教育などが食生活に関連する疾患とそれに伴う医療費を大幅に削減することがわかってきています。FIM設立の中心人物の一人であるダリウシュ・モザファリアン タフツ大学名誉学部長は、食べ物を病気の予防と治療の両方で考えるべきだと言います。
これまで健康的な食生活は利益をもたらすが、効果が出るには10年、あるいは20年といった長い時間がかかると考えられてきました。しかし、FIMは病気の治療に即効性のある、より具体的な食事や予防のための果物や野菜の処方などを活用します。
この取り組みは、多くの人の生活を改善する可能性を秘めています。
最新の治療法は、経済的に恵まれた患者に提供されることが多いですが、FIMは研究、教育、地域社会など幅広くパートナーシップを構築し、最も必要としている人々に介入が届くことを目標としています。ロックフェラー財団と米国心臓協会はFIMを支援するために2億5000万ドルの投資を発表しました。また、2023年時点で9つの州と米国退役軍人省、インディアン保健局が農産物処方箋のパイロットプログラムを開始し、民間保険会社も支援を表明しています。
東洋医学には旬の食材の働きや食べ合わせなど、食に関する多くの知見があります。FIMによる栄養に関する科学と政策の知識が加われば、病気の予防と治療において、さらに多くのことが食でできるようになるのではないかと期待が膨らみます。
<参照>
■Kim Thurler, Food is Medicine: Uniting Innovation and Equity, Tufts Now, June 1, 2023
■Joseph Caputo, Tufts University and Leading Health Care Organizations Launch Food is Medicine National Network of Excellence, Tufts Now, February 6, 2025