美しいけれども要注意なツツジ


Photo by ふじのもり

ツツジの花が見頃を迎えています。

雲南省でツツジの花料理を召し上がった方が、自分でも作ってみようかと言われていましたが、おすすめしませんでした。子どものころにツツジの花の蜜をなめて遊んだ方もおられると思いますが、ツツジはほとんどの部位に毒があるので、これもおすすめしません。

たしかに雲南省では花を料理に使いますが、地元の方たちはそこに生えているツツジの種類と扱い方をよく知っています。「このツツジの花なら少量だったら大丈夫」「酢につける」「ゆでてから使う」など害にならない方法を知っており、そうでなければ避ける方が無難です。

一方、有毒成分があるからこそ、ツツジが生薬として使われてきた側面もあります。中国だけでなく、ヒマラヤやネパールでは糖尿病、下痢、頭痛、咳、風邪などに使われ、アメリカ先住民はリウマチの痛みを和らげるために用いていました。ツツジに含まれるグラヤノトキシンには血圧を下げる効果がありますが、グラヤノトキシンは有毒成分ですので、くれぐれも素人判断で使用せず、美しい花を楽しむにとどめてください。

幸い、ツツジの名所は全国にありますし、ご近所のお庭や道路側ですら花を咲かせる丈夫な植物ですので見逃すことはありません。今はピンクや白などいろいろな色がありますが、やはりツツジといえば、青い空を背景に濃い赤と緑の葉の鮮やかなコントラストが映えます。中国の昔話には、ホトトギスが悲しみで流す血の涙がツツジを赤く染めたという話が多くありますが、そんな話ができるほど心に残る赤色であったのだろうと想像をかきたてられます。

YouTubeでもツツジについて話していますので、ぜひあわせてご覧ください。