クリスマスの花


Photo by Gosia Oledzka

クリスマスの花と言えば、その名もずばりクリスマスローズという花があります。

その可憐な美しさは見ているだけで癒されますが、花言葉のひとつに「わたしの不安を取り除いて」とあるように、心を落ち着かせる薬草としても用いられてきました。

プリニウスは、紀元前1400年頃に活躍していたギリシアの医者、メランプスがアルゴス王の娘の精神障害の治療をしたことを記しています。

秋に乾燥させた根は水腫やヒステリーの治療にも用いられ、クリスマスローズの匂いが悪霊を追い払うと考えられていたため、家の近くに植えられました。


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クリスマスの花として同じくらい有名なものに、ポインセチアもあります。

初代駐メキシコ大使であるジョエル・ロバーツ・ポインセット氏が野生のポインセチアを気に入り、米国に持ち帰ったことから、彼の名にちなんでポインセチアと呼ばれるようになりました。

その後、1920年代にエッケ親子がクリスマス用の植物としてよいのではないかと思いついて、カリフォルニアでポインセチアの栽培を始め、ポインセチア生産者として大成功をおさめました。

ですから、ポインセチアはもともとはクリスマスとは関係ありません。

ですが、「キリストの血」「永遠の命」「純潔」を表す赤・緑・白のクリスマスカラーそのもののポインセチアは、今ではクリスマスの花としてすっかり定着し、アメリカでは一番売れる鉢植えの植物として年間、約284億円の売り上げがあるとされています。

クリスマスローズとポインセチアには面白い共通点が二つあります。

ひとつは、どちらも花に見えているところは花ではないことです。
花に見えているところは、クリスマスローズは萼片で、ポインセチアは苞葉という部分です。そのため鑑賞期間が比較的長いという利点があります。

もうひとつは、どちらも毒があるので注意が必要なことです。
クリスマスローズの根や葉で嘔吐や下痢などが引き起こされ、根を粉末にしたものは、殺鼠剤としても用いられていました。

ポインセチアもラテックスアレルギーのある人は触れると湿疹ができ、子どもやペットが口にすると好ましくない症状が出ることがあるので、注意が必要です。

<参照>
■ Josephine Addison、『花を愉しむ事典―神話伝説・文学・利用法から花言葉・占い・誕生花まで』、八坂書房

How Poinsettias Flowered Into an American Favorite, VOA, 18 Dec 2012