桃の節句とゴギョウ


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東洋医学では季節の節目を大切にします。

節句は縁起のよい日ですが、それゆえ翌日からはよくない方へ転じていくと考えられていたため、古代から節句には邪気を祓うパワーがあるとされる薬草で厄払いが行われてきました。

3月3日のひな祭りは、今も生活に溶け込んだ風習として親しまれています。

桃の節句といわれるだけに桃の種を煎じた杏仁湯という薬湯が飲まれてきましたが、もうひとつ桃の節句と関わりが深い植物をあげるとすれば、春の七草の一つでもあるゴギョウです。

ゴギョウはハハコグサの別名で、漢字では「御形」と書きます。これは人形のことですが、けがれを祓う形代としてひな祭りに由来があると言われています。

古代中国では3月3日にゴギョウの汁と蜜を米粉に混ぜたものを食べていたそうです。また、日本でも平安時代から3月3日にゴギョウの草餅を作るのが年中行事であったようです。


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季節の節目や人生の節目など、昔は生活の中で節目がとても意識されていました。

植物は茎が折れても、節目から根を出して、再び成長することができます。ぼんやりと時を過ごしてしまわないためにも、季節の節目を利用して最近の生活を振り返り、次の計画を立てることは、現代にこそ必要なことなのかもしれません。

<参照>
和菓子をめぐる風俗、本の万華鏡