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頭痛を治すご利益があるという京都・三十三間堂の「楊枝のお加持」は、今年は1月14日に開催されます。
みなさん、「楊枝のお加持」の読み方をご存じでしょうか。
これは「ようじ」ではなく「やなぎのおかじ」と読みます。観音さまに祈願した法水を、お坊さんがヤナギの小枝で参拝者にかけて諸病を除き、特に頭痛に効くと伝えられます。
ヤナギに鎮痛作用があることは昔からよく知られており、ローマ時代の書物、『マテリア・メディカ』にも記載があります。ヤナギの爪楊枝は歯痛を和らげるという用途もありました。
ヤナギの樹皮に含まれるサリシンから、世界で最も有名な薬のひとつ、解熱鎮痛薬のアスピリンが作られました。ドイツの製薬会社、バイエルが1899年に販売を開始したのですが、ジョン・ベイン博士がアスピリンの作用機序についての研究でノーベル生理学・医学賞を受賞したのは、かなり後の1982年です。作用機序は不明であるけれども、効果があるから使われていたという、漢方薬のような使われ方をされているのがおもしろいです。
楊枝のお加持と同じ日に、大的大会と呼ばれる新成人の晴れ着姿での射が人気の弓道大会も開催されます。ぜひあわせてご覧になってください。
<参照>
■斉藤和季、『植物はなぜ薬を作るのか』、文藝春秋