2型糖尿病におけるタンポポの可能性

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タンポポ由来のT-1成分が不妊治療領域で高い評価を得ていることはよく知られていますが、実は肝臓疾患や糖尿病、眼病などの臨床でも使われています。

現在、世界で約4億人が2型糖尿病患者であると推定されており、有益な健康特性を持つ食品や栄養補助食品、医薬品への関心が高まっている中、タンポポにも関心が寄せられています。

「The Physiological Effects of Dandelion (Taraxacum Officinale) in Type 2 Diabetes(2型糖尿病におけるタンポポの生理学的影響)」で2型糖尿病におけるタンポポの生理学的影響についての論文がまとめられていますので、引用してご紹介します。

タンポポには世界各地の伝統医学で2型糖尿病の治療に使われてきた背景があります。

タンポポはその抗高血糖作用、抗酸化作用、抗炎症作用により重要な抗糖尿病植物と考えられており、ポリフェノール、セスキテルペン、トリテルペン、フィトステロールなど、タンポポに含まれるさまざまな生理活性成分の生理学的影響を評価するための研究が多く行われています。

同論文では、タンポポ抽出物が膵臓β細胞のインスリン放出を刺激することで高血糖の影響に作用すること、タンポポ葉抽出物の抗炎症作用がラットのコレシストキニン誘発性急性膵炎を防ぐ可能性があること、そして肝臓の酸化ストレスを抑制することなど、タンポポが糖尿病に対して有効であると考えられる研究がまとめられています。

タンポポの生理活性成分が2型糖尿病に及ぼす影響について、今後も多くの研究が行われることが見込まれます。

タンポポにはビタミンC、鉄分、カリウム、可溶性繊維、ポリフェノールなど有益な栄養素が豊富に含まれており、食品としても有用です。タンポポ研究者のひとりとして、今後も動向に注目していきます。

<参照>
■Fonyuy E et al., The Physiological Effects of Dandelion (Taraxacum Officinale) in Type 2 Diabetes, Rev Diabet Stud. 2016 Summer-Fall; 13(2-3): 113–131, Published online 2016 Aug 10. doi: 10.1900/RDS.2016.13.113, PMCID: PMC5553762, PMID: 28012278