二日灸


Illustrated by 歩夢

人々の間にお灸が広まったのは、2月と8月の2日に灸をすえる二日灸が流行した江戸時代からと言われます。

二日灸の流行以降、お灸のルールを定めた『鍼灸重宝記綱目』が書かれ、お灸が嫁入り道具のひとつになったり、「灸をすえないものと道連れになるな」ということわざが生まれたりと、お灸が生活に定着していきました。

今は二日灸の風習もすたれてしまいましたが、季節の変わり目のこの時期にお灸をすることはとてもよく、耳と湧泉への温灸をおすすめします。

2月3日の節分の後に立春を迎えますが、春は自律神経が乱れやすい季節であると言われます。

立春を過ぎると日照時間はだんだん長くなりますが、気温はあたたかくなったり寒くなったりを繰り返すので、それに体がうまくついていけないと、朝に起きられなくなったり、自律神経のバランスが乱れ、イライラしやすくなります。

耳は迷走神経が唯一外にでているところで、迷走神経に温灸をすると、副交感神経を活性化するので、気持ちがおだやかになります。

また、春は気が上がって詰まりやすいので、めまいやのぼせなど頭部に症状が出やすくなります。
湧泉に温灸をすると、上がりすぎた気を下ろすことができ、症状をやわらげることができます。

<参照>
■鈴木昶、『江戸の医療風俗事典』、東京堂出版