ふるさと納税の返礼品を眺めていて、とてもすてきな品を見つけました。秋田県のナスの花ずしです。ナスの藍色に菊の黄色が映えます。地元ではお正月など祝い事のときに食べられるもので、米を使用するため「すし」と呼ばれますが、塩蔵したナスに菊と米麹、トウガラシを重ねた漬け物です。
菊はその美しさから観賞とされることが多いですが、もともとは薬用として中国から伝えられ、風邪の発熱やめまい、耳鳴りなどの治療に用いられました。『神農本草経』には「血や気のめぐりをよくし、身の動きを軽くする」とあります。
東洋医学では、菊は明目といって目をきれいにする働きがあると考えます。中国ではドライアイや疲れ目、目の充血など目の不調を改善したいときは小菊地黄丸という漢方薬を用いたり、菊花茶を飲みます。
刺身に添えられる菊には食中毒予防の役割がありますが、実際にはあまり食べられていないようです。ガクの苦味や食感が好まれないのかもしれませんが、これはとてももったいないことです。菊の花びらを取って醤油の小皿やお刺身の上に散らすと、見た目にも美しく頂けますのでぜひお試しください。
他にも菊には抗ウイルス、抗炎症、血流改善、利水の働きがあり、有用な食材ですので、ナスの花ずしのような菊をおいしく頂く知恵がもっと広まればいいと思います。
先日、YouTubeでも目の養生に役立つ菊についてお話しました。
あわせてご覧いただけたら幸いです。
<参照>
■秋田県なすの花ずし、農林水産省