紅花


Photo by 山形県公式観光サイト

「中国の呉から伝わった染料」という意味の「呉の藍(くれのあい)」が変化して「紅(くれない)」となったと言われる紅花は、今は主に油として使われますが、昔はいろいろな用途で使われていました。

よく知られているのは染料です。
紅花の初花で染めることを初花染めといい、初花で染めるとひときわ鮮やかに染まると言われます。

口紅やほお紅としても使われ、金と同じ値段で取引されるくらい希少なものでした。
シャネルのルージュを約3g、金を1gあたり8300円として計算すると、今なら1本、24900円の口紅です!

紅花は漢方薬としても使われます。
血流循環をよくし、お血を改善するので、生理痛や婦人病に使われることが多いです。
冷え症や更年期障害にも使われるので、女性には心強い存在ですが、妊娠中の方は使用に十分な注意が必要なので、専門家に相談してください。

茎の先についた花を摘むので、紅花は「末摘花」とも呼ばれます。

末摘花と言えば、思い出されるのは『源氏物語』に登場する女性です。
彼女の鼻が赤いことと紅花の色をかけて、光源氏は彼女のことを末摘花と呼びました。
物語では気の毒なくらいに不美人であることが綴られますが、末摘花は長く光源氏と関り続けた女性のひとりでした。

紅花で染めた色はあせやすいと言われますが、彼女と光源氏との縁は、その名とは無縁であったようです。

<参照>
■山下景子、『日本美人の七十二候』、PHP研究所

山形県の紅花栽培の歴史と現状