新技術で精子選別にDXを活用


Illustrated by みけりん

昨今、DXという言葉をよく耳にします。
これはデジタル・トランスフォーメーションの通称で、ITを活用してより良い方向に変化させることを意味します。

医療においてもDXを活用する流れは顕著です。
不妊治療において注目されているのは、浜松医科大学の宗修平特任助教のチームによる研究です。
ナノスーツ法を用いて電子顕微鏡で精子を撮影し、先端部分の形状に異常が見られた精子と不妊治療の成績の関連データを蓄積し、男性不妊症をAIで自動判別する手法の確立を目指します。

良好な精子を選別する作業は、胚培養士の能力に依存する部分が大きいですが、自動判別が可能になれば胚培養士の負担を減らし、施設によるばらつきを減らすことができます。

ナノスーツ法は、細胞などの試料を生きている状態のまま走査型電子顕微鏡(SEM)で観察できるようにする新技術で、複雑な化学固定が不要という利点があります。

同研究は日本アンドロロジー学会賞を受賞し、日本医療研究開発機構(AMED)の研究開発プログラムとして採択を受けており、今後の進展が期待されます。

<参照>
■草茅出、男性不妊症 診断、新技術開発へ 浜松医科大などオール静岡体制、静岡新聞、2022.5.20
NanoSuit HP