苔生した景観はとても風情がありますが、先日、苔は観賞だけでなく、薬膳料理でも使われることを話したら、とても驚かれました。
確かに近年、苔を食べることはほぼありませんが、飢饉や災害時には非常食として用いられていました。
中国では、僧が修行の際に食べるものとして知られます。苔を食べると体が軽くなり、病気にならないと言われます。
薬膳料理では、血液をさらさらにするために使われます。
僧が修行の際に口にするもののひとつに松があります。
苔がついた苔松は、お正月など華やかな場で飾られる生け花として人気がありますが、松の苔には利水と痰をとる働きがあります。
肉の毒を解毒し、胃腸の消化を助けるものに松蘿茶(しょうらちゃ)がありますが、松蘿は松に生える苔のことです。
漢方薬としての苔についてはYouTubeで公開しています。ぜひご覧ください。
<参照>
■高嶋雄三郎、『松 (ものと人間の文化史 16) 』、法政大学出版局