Illustrated by トースト
英スコットランドで「生理用品法」が全会一致で可決されました。これは学校や大学を含む指定された公共の建物における生理用品の無料提供を義務化するもので、誰でも使用できます。
一見、「なぜ?」と思うかもしれません。しかし、この法案が可決された背景には「月経の貧困」、すなわち貧しくて生理用品が買えないために学校を休まざるをえなかったり、靴下やティッシュで代用する、生理用品の長時間や繰り返しの使用で健康を損ねるという深刻な状況があります。
この法案を2017年に提出したモニカ・レノン議員は英国での厳しい現実をこう述べています。「貧困レベルの上昇で、女性たちは食料を買うか生理用品を買うかの選択を迫られている。生理用品は数百円のものだが、それが多大な出費に思えるほど困窮している」。英国の子どもの権利擁護団体、プランインターナショナルUKのスタッフは「月経の貧困はこの国の少女たちが現実に直面している困難だ。自分らしさや自己肯定感にまで影響を与えている。21世紀のイギリスでこんな問題が存在するべきではない」と指摘しています。英国政府もこの問題に取り組み始めており、2021年から生理用品にかかる消費税を廃止することを表明しています。
イギリスのような国でさえ生理用品を買えないほど困窮している人たちがいる、しかも大勢いる、ということに正直、驚きを隠せません。それでも女性の生理というなかなか公になりにくい内容であるにもかかわらず、当事者の声が反映された政策のひとつと言えるのではないかと思います。
<参照>
■LI COHEN, Scotland becomes 1st country to make free period products the law, CBS NEWS, NOVEMBER 25, 2020
■Nadia Khomami, Scotland to offer free sanitary products to all students in world first, The Guardian, Fri 24 Aug 2018