サンタを信じるということ


Illustrated by kabu

例年ならイルミネーションに彩られて一年で最も華やかな時期ですが、今年は年末年始の外出自粛要請で賑わいもトーンダウンしています。今年のクリスマスは家でゆっくり過ごされるという方に、ぜひおすすめしたいのが『34丁目の奇跡』です。

34丁目はニューヨークのマンハッタンにある通りで、メイシーズという百貨店があります。クリスマスが近づくと百貨店に雇われたサンタクロースが店で子どもたちに聞きます。「クリスマスプレゼントには何がほしいの?」 そして横で聞いている親がそれを百貨店で買い、子どもにプレゼントする、という商売が行われています。ところが、そのサンタクロースが言いました。

「私は本物のサンタクロースだ」

そして、彼が本当にサンタクロースかどうかが裁判で争われることになり…、と物語は続いていきます。

百貨店の従業員であるドリスは離婚したことから「愛に裏切られたから夢とか希望は信じない」と言い、娘にも「サンタなんか信じるな」と言いますが、弁護士は彼女にこう言います。

「彼はサンタクロースが象徴しているもの、すなわちやさしさ、喜び、愛はあるということを証明するために裁判を戦っている。非常に厳しい現実にぶち当たった時に、それを乗り越える力はやさしさや愛、希望がくれるのだ。それらは科学的に存在を証明できない。だからこそ信じなければいけない」

クリスマスの話ですが、聖書も神も出てきません。宗教や時代、国に関係なく「目に見えないものを信じる気持ち」「人にやさしくする気持ち」が伝わるから、今も多くの人に繰り返し見られているのだと思います。