鉄分不足で産後うつの発症リスク増


Illustrated by hozu

国立成育医療研究センターの小川浩平医師のグループが、鉄分不足が産後うつの原因の一つになるという報告をされています。

小川医師のグループは2011年から13年に同センターで出産した女性977人の臨床データを解析し、産後に貧血だった女性は貧血でなかった女性と比べて産後うつの発症リスクが軽度で約6割増、重度では約9割増となるという結果を得ました。「貧血に対する治療がうつの抑制につながるかは今後の課題ですが、貧血が軽くてもうつのリスクになりうるため、放置せず、治療することが重要と考えています」と小川医師は言います。

これは東洋医学的な観点からも同意できます。東洋医学では「血が足りないと不安感を引き起こす」と考えられており、女性は月経や出産で血の不足がおきやすいですから補血作用があるナツメが重宝され、食材やお茶として日常的に用いられます。韓国では産後の回復食としてナツメは欠かせません。

生のナツメには鉄と葉酸が豊富に含まれ、漢方では女性の養生薬の第一選択肢です。ナツメには補血と健脾の働きがあります。健脾、すなわち脾胃がよくなれば消化がよくなり、食べ物の力を充分に体に取り込み、気血を増やすことができます。

そして、ナツメと阿膠(あきょう:ロバの皮のコラーゲン)の処方は「鉄が多く含まれる」「体を温める」「体力をつける」ことから、中国では昔から「女性の宝」と言われてきました。私は子宝を希望される方にはタンポポT-1エキスとともに阿膠(あきょう)食品をおすすめしていますが、妊娠された後もぜひ続けて飲んでくださいとお伝えするのは、ナツメが女性にとって大変有用な食材であるからです。出産後は育児に追われて自分のことは後回しになりがちですが、妊娠される前からナツメを食すことが習慣になっていれば飲み忘れもありません。産後の養生にもぜひナツメを役立ててください。

<参照>
■「産後うつ 鉄分不足が関係」、神戸新聞、2021/1/11
■邵輝、「女性の養生にナツメ」、Dr. Shawkea Official Blog、2020/10/29
■邵輝、「産後の回復にナツメ」、Dr. Shawkea Official Blog、2020/12/8
■邵輝、「ナツメとショウガ」、Dr. Shawkea Official Blog、2020/12/17